第4回学習会(2019/5/20)

「消費税減税・格差是正の税制改革と暮らし安心社会への財政投資で 日本経済を再生せよ!」

藤井聡(京都大学大学院教授)


2019/5/20 失われた20年の元凶は1997年の5%消費税増税と、続く緊縮政策だった。デフレ不況下で増税したのは日本だけ。第4回学習会 藤井聡

2019年5月20日(月) 第4回「99%のための経済政策フォーラム」学習会が、衆議院第一議員会館 大会議室で開催されました。

講師: 藤井聡(京都大学大学院 教授、元内閣官房参与)

演題: 「消費税減税・格差是正の税制改革と、くらし安心社会への財政投資で日本経済を再生せよ!」

 

 目からウロコのスライドの一つが、「世界各国の20年間GDP成長率ランキング」(下図)。世界で唯一のマイナスの衰弱国家がナント日本!! その元凶は、1997年デフレ下での5%への消費税増税と、続く緊縮政策の二重苦であった。ヨーロッパ諸国にも消費税はあるが、デフレ下で消費税増税という愚策を行った国は無い。

当日講演スライドのダウンロード:日本を「豊か」にする処方箋(反緊縮・反構造改革)

近い将来、リーマンショック級の危機が「絶対」起こる

■(政府GDP速報値のからくり)「内需冷え込み」による輸入急落が無ければ、名目成長率はマイナス




写真は左から①泉健太 衆議院議員(国民民主党 政調会長)、落合貴之 衆議院議員(立憲民主党 経済産業委員会野党筆頭理事)、②末松義規 衆議院議員(立憲民主党 財務金融委員会)③伊藤俊輔 衆議院議員立憲民主党会派 総務委員会)、④「99%フォーラム」主催者、⑤講師を囲んでの議員懇談会でも質疑応答が続く。

■出席国会議員・・議員本人6名、秘書8名

【立憲民主党会派】議員本人:末松義規、福田昭夫、落合貴之、石橋通宏、伊藤俊輔。
  秘書:(森山浩行)秘書、(本多平直)秘書、(早稲田夕季)秘書、(山川百合子)秘書

【国民民主党】議員本人:泉健太。  秘書:(森ゆう子)秘書、(泉健太)秘書

【共産党】秘書:(倉林明子)秘書

【れいわ新選組】秘書:(山本太郎)秘書

 


学習会後のまとめ、参加者アンケート、講師回答



 

目次

1.はじめに――全学習のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2.講演の全概容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

3.学習会参加市民のアンケート(質問・意見・提言)と講師回答の集録・・・9

4.推薦する講師とテーマ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

 

 

1.はじめに

 まずもってご参加が、党によっては政策調査会長、経済産業委員会代表をはじめ立憲民主党、国民民主党、日本共産党、れいわ新選組と出そろい、参加市民も100人近く(4回連続参加の方も少なくありません)、メディアの関心も高くなっていることについて、主催者として大変心強く心からお礼申し上げます。

 

 この冊子は、1.で「講演とアンケート」を取りまとめていますが、2.「講演の全容」3.「学習会参加市民のアンケート(質問・意見・提言)と講師回答の集録」をぜひお読みくださいますようお勧めいたします

危機的状況にある日本経済の再生と、政権交代への道筋を考えるためにご活用いただければまことに幸いです。

 

 なお、この冊子は「99%のための経済政策フォーラム」と地域市民連合のメンバーが手分けして、約200人の野党議員の国会事務所お届けしています(代表 鈴木国夫)。

 

 

 

全学習会についてのまとめ

 

(1)講演について

 アンケートをお読みくださいますとお分かりのように「あいまいさがなく、非常にわかりやすく、面白く学べた」というのが、多くの参加市民の気持ちであったようです。

第2回学習会の湖東教授は、主として消費税の本質から❶事業者が支払う正社員の人件費が仕入れ税額控除する経費として認められないので、中小企業の収支を圧迫し、その結果、非正規社員割合を増やす,❷輸出企業の輸出売り上げについて消費税の対象外である、❸「収入に関わらない一律課税だから99%の人々を苦しめる―-悪税と訴えました。

 これに対し、藤井教授は、消費税が経済に及ぼす悪影響について実証的に説明し、今この不況のただ中で消費増税という緊縮政策などもってのほかで、逆に反緊縮経済政策で❶消費減税をし、❷税制改革をして所得税の累進性や企業減税を元に戻し、人々の税負担を軽くして消費や設備投資を増進させる一方、❸税収増加を原資としたり、一時期国債を追加発行してでも積極的に財政投資をすべきである。そうすることによって経済を好循環させ、消費も設備投資も拡大し国債の発行残高も減少に転ずる――と主張しました。

(全詳細は後段の「2.講演の概要」をご覧ください)。

 

  

(2)アンケートについて

 以下に、アンケートについて例をあげながらあらましを説明いたします。消費税についても、緊縮~好循環経済についても、議員・市民を問わず、賛成するかどうかは別として、ある程度学習しなければその本質について判断ができません。次の例はそのことを示しています。

  

 1)消費税を中心に

「消費税は正しく使われれば社会福祉の充実のためにある程度必要と考えていた。しかし、様々なデータを示しての説明で、消費増税が特にデフレ期はいかに経済を悪化させ、反って財政赤字を逆に増大させることがよく分かった。緊縮財政も同じである。

 安倍政権の軍事費やオリンピックなど偏った投資には反対だが、人々のための必要な政府支出の重要性を強く認識できた」

 ちょうど、安倍政権による消費増税再々延期が言われ始めた時とあって、次の例と同様の意見が多かった。

「立憲民主党は消費増税を凍結・撤廃し、貧困から脱出させるべし。安倍が消費増税凍結を言うといわないにかかわらず、1日でも早く立憲民主党と野党は共通政策としてこのことを宣言して選挙に勝つべし。立憲民主党は藤井さんの話を30分以上聞くべし」

 次の例は、危機的現状とヒトラーがそうであったように反緊縮財政を前面に出し国民の人気を奪う独裁政治家が現れないかと心配する例であるが、その意味では今こそ、少なくとも野党はこぞって、そして保守や無党派の勢力も巻き込んで、99%の人々が連帯して立ち上がらなければいけないと訴えている。

「目から鱗―まさにそんな思いで伺いました。党派を超えて消費税増税・経済政策の

根本的な転換を求めて、実現していかねばならないと強く思います。今日のお話しは深刻な内容です。

『ポピュリズムでヒトラーみたいなヤツが登場するかも…』ドキッとしました。本当に今、小異を捨てて大同につかねばなりません。先生のような方のご健闘を願ってやみません」。

 

 

 2)反緊縮・好循環経済を中心に

藤井教授や松尾教授(第1回学習会講師)の「歯止め(物価安定目標)のある反緊縮と好循環経済」の考えについて、第1回学習会(昨年12月)の時の「無条件賛成が37%、反対が19%」であったのに対し、今回は賛否判断のあるアンケート13名のうち12名が「賛成する」もしくは「理解できた」でした。あとの一つも「消費増税や緊縮が悪という主張はよく分かった。だがこれまでの財政健全化必要論も捨てきれないのだが」というものでした。

 参加者の多数は毎回入れ替わるのですが、この学習会参加市民の間では、「歯止め(物価安定目標)のある反緊縮と好循環経済」は随分理解と支持されるようになったと思われます。

 さらに、問題意識がさらに次のように進んでいるようです。例えば

「反緊縮経済政策は日本では極めて抵抗が強いと思われます(特にマスコミ)。その原因は何でしょう。その壁を突破する方策は何でしょう」

というような課題を指摘する意見がかなり多くあった。関連して

「反緊縮の立場を明確にしなければ、収入・支出両面で国民の心を掴むことができないと思うのですが、立憲民主党さえもその立場を明確にしていません。先生はこのことをどうお考えになりますか?」

「地方自治体も緊縮財政を強いられていますが、地方自治体も積極財政の方向を変えていくべきでしょうか? その場合留意すべきことは何でしょうか?」

「消費減税・税制改革・反緊縮経済政策によって政権交代が実現するとして、税制改革についてはそれと同時には実現しないと思います。どのくらいの年月が必要なのでしょうか? またその間国債の追加発行が必要となりますが、積極的な財政投資を含めてどのくらいの金額が必要となるでしょうか?」

 いずれも、「3.学習会参加市民のアンケート(質問・意見・提言)と講師回答の集録)」の中で講師が回答しています。

 

 

 3)その他の経済政策など政党への提案について

 相変わらず、野党に対して国民の心を掴む経済政策の打ち出しを望む声が強い。

「経済政策は選挙の時にも一番重要な課題ですが、野党全般に弱い気がします。若者は賃金雇用に敏感で、そのことを耳障りよくアッピールする政党に票を入れているという結果が出ています。税金を国民の生活を豊かにするために分配することをアッピールすべきと考えます。また原発の本当のコストなども広く知らせるべきです」。

 その内容としての税制改革について、次の具体的な提言があった。

「立憲民主党さんへ、消費(増)税などやめて、下記により財源を確保されたい」として

公正な税制の実現のための本格的な提言があった。それに悪徳の栄える(貧富の差・官僚の国財隠匿…)日本こそもっとベーシックインカムが必要とする提言は、「自己責任論」が批判される傾向と相まって、この制度が俄然現実味を帯びてきたこと思わせる。

(全アンケートの詳細は後段の「3.学習会参加市民のアンケート(質問・意見・提言)と講師回答の集録)」をご覧ください)。

 

 

 

 

2.講演の全概要 (要約の文責は編集者にあります)

 

講師タイトル「消費税を凍結せよ~日本を豊かにする処方箋」

 

最初に、学習会当日の午前、政府から1~3月のGDPの速報値が、年率プラス2.1%と発表されて、早速茂木経済財政政策担当大臣が消費増税を行う旨発言したことについて藤井講師は、次のように説明しました。

 「今回のGDPのプラス成長は、輸入の減少による単なる見せかけ上の数字である。名目値で102.9兆もあった輸入が94.7兆に急落がGDPを押し上げた(輸入は、統計上GDPから差し引く項目)。もしもこの輸入減がなければ、GDPはプラス成長どころか、名目で年率2.7%ものマイナスとなっていた。

 内需が冷え込み過ぎて輸入が減って、見かけ上の数字となった。2019年の経済危機の可能性が濃くなって、消費増税などムリなことが明らかである」(編集者注…以下の本論でその詳しい実態があきらかにされていきます)

 

日本がなすべき3つの政策ピボット(転換)

  1. 反緊縮…へのピボット(積極財政)
  2. 反グローバリズム…へのピボット(国民・国際主義)
  3. 反構造改革…へのピボット(保護・連帯主義)

 

 

1)今、日本は激しく「衰弱」し続けている(多くの国民の想像をはるかに上回る速度で)

世界中が成長している中、日本だけが成長していない。1995年から2015年の20年をとれば、日本が、唯一成長率(名目)がマイナスで(-2%)、世界の主な77国中、世界一かつ世界唯一の衰弱国家である(世界77か国の平均は13.9%)。その結果日本のプレゼンスを世界のGDPに占める日本のシェアで見ると1995年から2015年の20年で17.5%から5.9%まで低下している(中国は2.4%から15.0%まで伸び、アメリカは24%台の横ばいを維持している)。

 

2)なぜ、今日本経済が激しく衰弱し続けているのか?

 2014年の8%の消費増税は、日本国内の消費を一気に冷え込ませ日本経済に激しいダメージをもたらせた。さかのぼって1997年の5%の消費増税の場合はもっとひどかった。1997年からGDP、一世帯当たり国民所得が下降し、税収が急減し、国債が急増したからである。

2014年の消費増税のときもその後3年間で一世帯当たり消費支出が34万円も減少し、格差拡大が進み国民は一気に貧困化している。消費増税のダメージは実はリーマンショック以上なのである(編集者注:数字については聞けなかったがHPにも掲載されている配布資料の18ページにグラフによって明示されている)。

消費税が日本を衰弱させる理由を3つあげると

❶経済成長の最大のエンジンが消費

 ➀GDPの6割が消費

 ②GDPの15%を占める投資は消費に強く依存している。

❷消費税が、その消費に対する罰金として機能する。

❸不況でなければ、消費税の悪影響は軽減する(諸外国の多くは好況時に行われているところが違う)。

 

3)日本を衰弱させている元凶は、より正しくは消費増税というよりも「緊縮である」

(編集者注:この辺りのことはつぎの2つの図解からお読み取りください)

 

4)日本をダメにした真犯人は、「緊縮&改革である。」

緊縮経済下では、「改革なしに成長なし」という思い込みが蔓延し、あらゆる業界で「規制緩和」「民営化」「貿易自由化」「派遣労働規制の緩和」が進められその結果「過当競争」が生じた(例:運送業・商店街・建設業・農業…)。その結果、物価がさらに下落し、「ブラック化」が蔓延し、賃金が下落し、不況がさらに拡大するという悪循環経済に陥った。

これは、経済の問題にとどまらない。長く続く不況で自殺や過労死、医者にかかれないなど人々の人生を狂わせている(自殺者は、1997年消費増税以前と以後の10年間の年平均で22,418人から32,560人間で約1万人増えている)。

 

 

5)どうすれば日本は衰退から脱却できるか?

   (編集者注:この下記をご覧ください)  

1)税制改革: 消費減税+法人増税 「緊縮」から「反緊縮」へ

2)財政政策: 成長を促す様々な「政府投資」等 「緊縮」から「反緊縮」へ

3)構造政策: 賃上げ、物価上昇を促す制度設計

 移民促進法改定、水道・空港・JR等再公営化、不当廉売規制/適正価格誘導賃上げ税制、最低賃金上げる、公務員拡大、介護等公定価格上昇、保護貿易強化、新会社法改定(株主優遇制度の緩和・撤廃)、不適格業者の排除、農業補助金増強など)  

 グローバリズムに基づく「構造改革」から、「国民第一主義に基づく保護・連帯」へ

 

 

6)反緊縮経済政策で景気拡大~経済成長し財政収支を改善した海外の事例とアベノミクスの実態

❶スェーデン 保守中道から社民党の政権交代(2014年)による、人々のための大幅財政支出増で財政成長率が3.1%となり財政収支が大幅黒字に(2017年)

❷カナダ 保守党からの政権交代(自由党トルドー首相、2015年)後、「財政赤字拡大」の財政運営で成長率が0.9%から3.0%に(2017年)、財政収支が2018年4-9月期に黒字転換

❸ポルトガル 保守連合から社会党中心左派連合への政権交代(2015年)によって、最低賃金・公務員給与・年金支給額アップなどの反緊縮積極財政によって、経済成長率が政権交代前の0.9%から2.5%となり、失業率・財政赤字が激減した。

これらの国々でハイパーインフレ(急激なインフレ)は起こっていない。(インフレがいきすぎた場合のために物価安定目標があって金融を抑制することができる)

これらと比較して、アベノミクスは「反緊縮」などといわれることがあるが実態は、まるで違って緊縮財政そのものである。その理由は…

❶税収から支出を引いた資金供給量は、安倍内閣の発足当初は40兆円だったが激減させていまは11兆円というマイナス財政である。

❷2度にわたって消費増税をして消費を抑制している。

❸実質的に消費増税が企業減税の原資となったのだが、しかも、企業は減税による利益を貯めこみ、設備投資など景気拡大のために活用していない。

これでデフレを脱却できるわけがない。安倍内閣は自称「アベノミクス」をまったくやっていない。

プライマリーバランスをとるということのために、このような緊縮財政をしておれば、反って❶格差社会や、❷福祉の貧困、❸貧弱な科学水準・教育レベル、❹インフラの老朽化、❺防災力の弱体などのツケを将来世代に回すことになり、あらゆる面で貧弱な国家を将来世代につけ回ししてしまうこととなる。それが将来世代の政府の税収を低くし、将来の財政を悪化させることになる。

 

7)2019年に予想されるリーマンショック級の経済危機

これは、リーマンショック時のGDP下落率3.7%ダウンに匹敵するものである。2000年以降はオリンピック不況のオソレもある。これらの要因による外需の急減、景気後退による実質賃金の下落がマイナスに働く。

世界的といえるこのような景気後退予測に対し、IMF(国際通貨基金)は、「金融状況の引き締まり」もリスク要因で、柔軟性のある財政と相まって、各国政府は鈍化しつつある経済成長を支え、支援する必要がある」と警鐘を鳴らしている。繰り返すが、2019年に消費増税など到底無理な状況である。

 

 

 

3.学習会参加市民のアンケートの集録

  

注1.質問と意見が一体化しているものが多く、分けずにテーマ別に分類しています。

注2.講師の回答の要約の文責は編集者にあります。

注3.原則として原文のままです。

注4.番号は整理ナンバーです。

 

 

1)消費税・反緊縮についての意見(質問はないもの)

⑭消費税は正しく使われれば社会福祉の充実のためにある程度必要と考えていた。しかし、様々なデータを示しての説明で、消費増税が特にデフレ期はいかに経済を悪化させ反って財政赤字を逆に増大させることがよく分かった。緊縮財政も同じである。

安倍政権の軍事費やオリンピックなど偏った投資には反対だが、人々のための必要な政府支出の重要性を強く認識できた。

⑮デフレ下における消費税減税は、メリットがないことと、緊縮財政が経済にいかにマイナスかがよく分かりました。今まで漠然と消費税が経済を悪くしていると感じてはいたのですが、税金の仕組みの説明、GDPの25%を国家予算が占めていることなどの説明で「目から鱗」という感じで、すっきりわかりました。本当に藤井先生のお話しがきけてよかったです。

⑳「目から鱗―まさにそんな思いで伺いました。党派を超えて消費税増税・経済政策の

根本的な転換を求めて、実現していかねばならないと強く思います。今日のお話しは深刻な内容です。

「ポピュリズムでヒトラーみたいなヤツが登場するかも…」ドキッとしました。本当に今、小異を捨てて大同につかねばなりません。先生のようなお立場の方のご健闘を願ってやみません。

⑥勉強になりました。人口減=低成長・成長低下ということはウソであることは驚きでした。

㉜緊縮政策・消費税引き上げがアホだ、中でも維新はドアホ…ということはよく分かりました。それ以外の処方箋は合意しにくいところがあります。

例えば、「賃金引上げ」だけが賛成ですが、「賃金」といっても、❶最低賃金、❷介護士・保育士、❸中小零細企業労働者、❹大企業労働者、❺大企業労働者などいろいろあります。

④非常にわかりやすく面白く学べました。感謝申し上げます。周辺の人に今日学んだことを伝えたいと思います。

⑨経済成長を絶対の前提とする(経済成長➡税収増)話で、粗暴な議論に終始していた。賛成できるのは法人増税の提案だけ。

㉖消費減税が必要であることがよくわかりました。

㊸消費増税すべきでないことは全くよく理解できました。多くの人たちに伝えます。

 

 

2)安倍政権が消費税増税を延期するという観測があるが、これに対して、野党がとるべき消費税対策は?

⑯ここへきて景気の悪化や選挙目当てに安倍政権が消費増税再々延期と衆参同日選挙を打ち出す可能性が出ています。これに対抗するには野党は消費税ゼロを打ち出すほかないと考えますが、先生のお考えをお聞きしたい。

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

 消費税はゼロであるべきなのだが、世論調査を見ても国民のかなり多くが消費増税に賛成している。そのような現状では、まず「消費増税ストップ」と「消費減税を掲げ国民の理解と支持を得ることを祈念します(拍手)。

  

●この質問に近似する質問・意見

㉝消費税再々々延期はありうるのか?選挙対策としてありうるのか?

②野党(立憲民主党・社民党・自由党・国民民主党・共産党)は選挙で共闘し、「共倒れ・共食い」をなくしていただきたいです。庶民が選挙に行くように仕向け投票率を上げれば、野党は勝てますので「消費税減税・ゼロへ」を統一政策にしてください。

⑪ぜひ立憲野党は消費税廃止を公約すべきである。

 

 

3)海外の消費税(付加価値税)が日本よりも高率であるのに不況でないのはなぜか?

1997年の消費増税以降、日本の衰弱が始まったとのことですが、西ヨーロッパでは、付加価値税が20%くらいなのに経済成長ができたのは、なぜでしょうか?

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

海外の消費増税(付加価値税の増税)は、すべて好況の時に行われている。不況の時にやるのは日本だけ。また所得税や法人税も含めた税体系も違うし。海外の付加価値税の対象が食品などの必需性の高いものが適用外ということもあるから消費(付加価値)税率だけの比較は全く意味がない。

  

●この質問に近似する質問

㉚米国など外国でも消費税は実施されていますが、日本のように悪い経済になっていない理由は何ですか?

 

 

4)アベノミクスについて

㊱安倍政権の赤字政策依存は反緊縮ではないですか?(編集者注:講演のなかでもあったがとりあげました)

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

アベノミクスが反緊縮経済政策となどといわれることあるが、それは間違いだ。プライマリーバランスにこだわって赤字国債の発行が少なく、発足当初よりも資金供給量を激減させ、財政投資も中途半端で、消費増税でお金を吸い上げて歴代でも一番の緊縮内閣である。だからデフレが続いている。

 

 

㉑安倍さんはわざとやっているのではないと思うのですが、経済を崩壊させ国民が預金を下ろせないようにするのでないでしょうか?いかがでしょうか?これだけ不況な様子なのになぜ支持率が上がっているのでしょうか?

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

わざということはないと思うが、結果的には経済危機が続いている。支持率が高いのは、先に述べたような、アベノミクスによって儲かる人、反緊縮経済が正しいという政府~メディアの宣伝を正しいと思いこんでいる30~40%の人たちの強い支持があるからと思う。 

 

⑧現政権が緊縮財政を行っているとはじめてわかりました。ニュースでは戦後最大の国家予算と報道されているので緊縮とは思っていませんでした。

 

 

5)緊縮経済政策のマイナスのスパイラルと緊縮経済政策の好循環をうまく説得する方法について

㊲先生はストック効果のある財政投資は国債の追加発行によって賄うべきで「プライマリーバランス」にこだわってはいけないと反緊縮の立場をとっておられて全く同感です。野党は、この反緊縮の立場を明確にしなければ、収入・支出両面で国民の心を掴むことはできないと思うのですが、立憲民主党さえもその立場を明確にしていません。先生がそのことをどうお考えになりますか?

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

財政は企業経営や家計と本質的に異なるのにプライマリーバランスに固執して、反緊縮は道徳的にいけないこと、というような誤った考え方が、官僚・財界・政治家・学者に根強く残っている。彼らは、反緊縮の考え方を上から目線で批判する。彼らはメディアを握っているものだから多くの国民をそう思い込ませ、自公政権を支持させようとしている。ことさら財政危機を訴えて、消費税を上げたり福祉の予算を抑制しようとしているのを見破らなければならない。

海外では、反緊縮の勢力が俄然勢いを増している。日本でも野党の皆さんが反緊縮でやっていただくと日本は必ず良くなる(拍手)。 

 

●この質問に近似する・質問意見

㉒巨額の財政赤字と、増え続ける社会保障費財源には、消費税上げが必要という主張は素朴な感覚としてその通りだと考えています。世界的に見ても日本の税負担率は低いという説(実は、先日吉川洋立正大学学長の話を聞いたばかりです)をどう考えればよいでしょうか?

㉓日本は財政支出拡大に対する抵抗が極めて強いと思います(特にマスコミ)。その原因は何でしょう。その壁を突破する方策は何でしょう。

㉗江戸時代でいうと、倹約令と田沼時代のようなものだと思います。倹約マインドと言うものが大きな問題なのかもしれません。成長期の日本経済に大きなゆがみがありましたが、そこばかりが、強調されがちです。経済的植民地政策などゆがみを直視しつつコントロールしていくことも大切と思います。

㊻消費増税や緊縮政策が悪だという主張はよく分かった。まだこれまでの財政健全化必要論は捨てきれないのだが。

㉟なぜ正論が広く力を持たないのか歯がゆい思いです。竹中平蔵が未だに大きな顔をして、テレビに出ていて不思議です。マスコミはいったいどうなっているのでしょう。

㊼「自国通貨を発行できる政府は、通貨を際限なく発行できるから財政赤字の大きさは問題ないというMMT(現代貨幣理論)は、放漫財政のススメともいうべき極論である」という議論がありますが、先生はこのMMTについてどのようにお考えになるでしょうか?

(編集者注:この質問に対する回答は席上ではないが、「日本ビジネスプレス 記事一覧から 5月21日記事 URL下記」で藤井講師がこの理論の内容とともに、次のような見解と根拠を述べている。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190521-00056429-jbpressz-bus_all

その要約は次の通りです。

「MMTは、一部の日本のマスコミや評論家の人たちが言うような「トンデモ理論」とは決して言えないものだ。それよりもむしろ、これまでの財政規律の不条理性を指摘した上で、それをより適切なものへと財政規律を「改善」することを主張する、至って理性的なものということができる」

㉙藤井先生は、内閣官房参与をなさっていたそうですが、内閣は聞く耳を持たなかったのか、またどんな議論が行われていたのか教えてください。

㊹(失礼かもしれませんが)先生が内閣官房参与時代、反緊縮政策を提言されなかったのですか?それに対して政府の反応はどうだったのでしょうか。

 

●上の2問に対する講師の席上での回答(要約) 

内閣官房参与の執務上のことは守秘事項だが、この本(「10%の消費増税が日本経済を破壊する=晶文社2018年11月)は内閣官房参与の時に出版した。この本を安倍首相が読んでいたかもしれない。

 

  

6)反緊縮経済政策がハイパーインフレ(急激なインフレ)を起こす懸念がないか?

㊹反緊縮がインフレを招く心配はないでしょうか。

㊳カナダは積極財政で今は成長しているが、先生の最後の説明では、やがてバブル崩壊となるとのこと。同様な着地というか回避策が可能なのでしょうか?

㉔カナダは積極財政でせっかく成長したのに、バブル崩壊の危機か迫っているのですか?

㊺緊縮にすれば不況になるという話でスェーデン・カナダを例に説明がありましたが、最後のリーマンショック級の破綻が起きたら、消費増税を凍結するという安倍政権に必ずそれが起きるという説明がありました。その例としてカナダを上げておられましたが、いったいどういう経済政策がよいとお考えなのかその矛盾でわからなくなりました。バブル崩壊などもう2度と経験したくないと思っていますので。

 

●これらの質問に対する席上での講師の回答(要約) 

カナダについてもいえることだが、デフレの時には反緊縮経済政策で景気を拡大し国民の貧困をなくさなければならない。しかし、景気が過熱してインフレにならないよう、たとえば、❶物価がインフレ率(物価安定目標、例えば2%)や名目経済成長率が3%以上2~3年以上続いたら増税を考えてもよい。金融・財政で緊縮気味の諸政策

(編集者注:例えば、日銀が逆に手持ちの国債を購入して民間から貨幣を吸い上げる国債の買オペレーション、❷銀行などで預金残高のうちの一定割合を支払準備として日本銀行へ預け入れる預金準備制度、❸増税…)

さらに、企業や個人が収める税率が自然に上昇するから、税収が増収となり、ハイパーインフレの安全弁の一つになるから二重にサーモスタットを働かすことで。ハイパーインフレを未然に防ぐことができる。

インフレ目標というのは、デフレ時には物価を上げる目標として機能するけれど、インフレがいき過ぎた時には、それを抑制する目標として機能させ、その方策を駆使するのだから「インフレが心配」という議論はあたらない。

カナダはまさにその時期にあるということができる。

 

  

 

7)反緊縮経済政策の下では円の価値が下落しないか?

㊸お札をどんどん刷って、国内に流通させるべきだという考えがありますが、国内はよいとしても、外国で日本円の価値が下落しませんか?

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

反緊縮といっても歯止め(インフレにはしない安定物価目標)がある。円の価値が多少下落しても円安のメリットもあり全く心配ない。大事なのは国内であって、国内の不況や貧困を退治することが最優先課題である。ただ繰り返して申し上げているように、ハイパーインフレ(急なインフレ)を防止するために物価がインフレ目標(インフレ状態を示す物価上昇率)に近づけば財政・金融面でインフレを止めるあらゆる政策手段を準備し実行しなければならないし、それは可能である。

  

●この質問に近似する質問・意見

㉘反緊縮財政を進めるうえで現在の日銀の超金融緩和政策は継続するのでしょうか?

また今や株式市場で日銀が株主のトップになっている会社が80%に達している状況は資本主義と真逆と思うのですが。

 

 

8)緊縮経済の悪のスパイラルと反緊縮経済の好循環をうまく説明する方法は?

㉛財政悪化➡さらなる緊縮の悪のスパイラルを一般の人々に分かりやすく短く説明する方法はないだろうか?逆に言うと、家計の均衡予算<収入=支出+貯金>というたとえが余りにも説得力が強いため。例えば時間軸を加えて説明する?

●編集者注:この質問・意見について席上ではありませんでしたが、藤井講師が雑誌クライテリオン(2019年12月号)で次の通り述べています。 

 

財政規律は必要であっても、その規律は「長期的な視点を持つものでなければならない。近視眼的単年度主義的なものであっては絶対いけない。財政基盤を強化し、税収を長期的に増強させるような「政府支出」を過度に抑制せず、むしろ奨励する規律が必要である。そこを考えずに今の「プライマリーバランス規律」で何もかもを一律に抑制してしまえば、反って長期的に財政収支が悪化していく。

デフレから脱却するための政府支出は、将来の税収を確実に増大させる。赤字国債であっても、デフレ期においては過度に抑制しないことが、財政的に合理的なのです。

 

 

 

 

9)政権交代後の税制改革実現の時期について

「消費減税・税制改革・反緊縮経済政策によって政権交代が実現するとして、税制改革についてはそれと同時には実現しないと思います。どのくらいの年月が必要なのでしょうか?またその間国債の追加発行が必要となりますが、積極的な財政投資を含めてどのくらいの金額が必要となるでしょうか?

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

税制改革にせよ、政権交代と同時にはムリとして国会決議をすればすぐに実現するはずです。それだけ国民によって議員が選ばれた国会の多数の力は強大です   (編集者注:このことについて講師が前列の立憲民主党と国民民主党の幹部議員に「それでよいか?」と念を押しました。非常に希望をもたらせるやり取りであったように思います)。

 

 

 

 

10)地方自治体の積極財政のありかた

㊵地方自治体も緊縮財政を強いられていますが、地方自治体も積極財政に方向を変えてい

くべきでしょうか?その場合留意すべきことは何でしょうか?

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

地方も積極財政が必要だ。ただし、地方債と使途が限定さており、地方自治体に通貨の発行権などない。しかし、企業が設備投資、人材投資をするように、将来税収増加を見越せる対象に積極的に財政支出するほかないし、それは大いに可能だ。

 

 

 

 

11)企業活動の活性化についての意見・質問

㊷今日本企業の時価総額や生産性が世界の先進国の最低レベルです。景気がよくなるだけで企業が元気になるとは私には考えられません。逆に企業が元気にならなければ賃金が上がらず、景気がよくならない面があると思われます。そのための経済政策を教えてください。

 

●この質問に対する席上での講師の回答(要約) 

企業活動の活性化は、反緊縮経済政策による経済環境では沈滞あるのみである。ところが輸出企業は、消費税不況のない外国市場に売りまくり円安も手伝った。しかも輸出売り上げに消費税が課せられず、「ぼろ儲け」の状態にある。

企業に元気を出させるには、随所で述べたように❶消費増税などせずに消費を喚起する、❷政府が積極投資をして景気を拡大する、❸賃金を上げさせる…この3つが必要である。

 

 

 

 

12)中小企業の立場からの質問・意見

●編集者注:この質問については、第3回学習会(湖東京至講師=消費税その実態)についての配布資料もしくは講演概要を「99%FのHP」からお読み取りください)

㊽消費税についてもっぱら消費者の側面からのお話しでしたが、事業者としての負担もかなり大きく、増税が負担をもたらす点についてもう少しご説明いただけないか?

⑱中小企業の立場からすると、「消費税」は重複課税となっていて、しかも人件費が経費として認められない!重複課税でしかない「消費税」をやめると経済はどうなるのでしょうか?

 

 

13)野党の経済政策などについての意見・質問

●野党は経済政策が弱い

⑫本日のテーマは前々から興味がありとても勉強になりました。

経済政策は選挙の時にも一番重要な課題ですが、野党全般に弱い気がします。若者は賃金雇用に敏感で、そのことを耳障りよくアッピールする政党に票を入れているという結果が出ています。税金を国民に生活を豊かにするために分配することをアッピールすべきと考えます。また原発の本当のコストなども広くしらせるべきです」。

㉖北欧のベーシックインカムの政策について、私は日本こそベーシックインカムをやるべき悪徳の栄えの国であると思います(貧富の差・官僚の国財隠匿…)が、コメントを。

●税制改革についての意見

⑰立憲民主党さんへ、消費(増)税などやめて、下記により財源を確保されたい。公正な税制の実現

❶タクス・ヘブンを退治する(タクス・ヘブン否認法制度によりみなし連結課税・総合課税

❷大企業向けの税優遇制度をやめる。

❸富裕層の金融所得分離課税をやめ総合課税にする。

❹富裕層への累進課税を強化(所得税+相続・贈与税)

❺消費税をやめてぜいたく品物品税へ(付加価値税がダメ)

❻非居住者に日本国内源泉所得課税をする

㉞格差是正の税制改革とはどのようなものですか?

 

(編集者注:の質問について回答は席上ではなかったが藤井講師が自著「10%消費税が日本経済を破壊する=晶文社」で次の通り述べている(要約)。  

❶法人減税が行われたが、多くの企業が前向きに設備投資をせずに内部留保を貯めこんでいるにすぎずこれは大きな問題である。

1980年代の法人税は40%以上の水準であったが、現在は20%程度となっている。

したがって、法人増税すべきだが、特に投資や賃上げなどに後ろ向きの企業には、税率を高くすべきだ。消費増税よりも、このことによるほうが財源を生むと同時に、はるかに経済を活性化する。

❷1983年まで所得税の最高税率は75%であったが今は45%である。高額所得者の減税の流れを見直すことが得策だ。所得税も法人税もそれぞれ8兆円も縮小してきたのだから、増額できる余地は十分にある。(編集者注:消費税10%増税による税収増加約5兆円。軽減税率やプレミアム商品券の発行による相殺額は約3兆円といわれている)

❸今、金融所得が勤労所得と分離されその税率も50億円以上の金融所得の人は10%強という以上というひどい逆進性である。これは是正されねばならない。

❹環境税・混雑税・土地利用是正税などを新設して環境保全・渋滞緩和、東京一極集中の防止という一石二鳥を狙う。

 

 

 

14)その他の意見・提言

●性暴力について

⑦同意のない性暴力の加害者が無罪となる判決が続出しています。加害者が正当に裁かれるよう、また被害者の方々が、安心して暮らしていけるよう法制度の整備を何としてでも実現したい。来年の刑法改正(付帯決議)に合わせた政党内または超党派働きかけをお願いしたい。

●社会的は対抗勢力を持つために

㉖賃上げ、最賃上げが行われない要因に連合・全労連・全労協とも組織率を減らしている。移住労働者拡大政策が進むと、ますます労働組合の力が求められます(未組織の組織化など)。社会的な対抗勢力が力を持つためにどうしたらよいか。

●大阪維新の会について

㉕西日本、特に大阪維新の会の支持者の方々経済的階層の特長とその共通性や政治的主張について不満の矛先はどこで、改憲デマゴーグに簡単に熱狂している思考状態について、分析的コメントをお願いいたします。

●学習会について

➀マクロ的講義はごもっともでございますが、現実我々はちりやあくたの生活者で日々の身入りと食う寝るところ住むところの問題と直面しているので、ミクロの会合というか、もっとリアリティのある井戸端会議をやりたいです。あと高齢者はもの周りの整理と断捨離をどうするか、あとはやはり健康問題ですね。永田町の悪徳を追求するときりがないので別の戦略をつくらないと。

 

 

 

 

 

 

4.推薦する講師とテーマ(敬称略)

 

③本間龍 憲法改正と国民投票における巨大メディア資本による世論操作の問題

③格差是正のための政策、社会的解決策

④デービッド・アトキンソン

⑨井出英策 なぜ増税は必要か? 

⑪杉原泰雄(憲法学者) 日本国憲法第8章 地方自治について

⑫中野剛志 経済財政政策

⑭スェーデンなど北欧の財政政策と経済成長策の具体的事例を知りたい

⑰山家ゆきお 高橋伸顕